玖琅と宇宙生物との対面 






向こうの部屋から聞こえてくる喧しい音に、玖琅は我慢できずに入室すると、
茶家当主と蒼き星の娘が居た。速攻で蒼き星の娘に挨拶を行った後、
茶家当主と話そうと思った瞬間、足に何かがしがみ付いた。
視線を降ろせば……謎の赤き物体。瞬間、玖琅の時は止まった。




「く、玖琅?」




邵可は恐る恐る声をかけた。自分でさえ目の前の物体に驚いたのだ。
常識人である玖琅ならば――。



「初めまして、紅 玖琅です」







「玖琅――――――――っ?!」







何時もおっとりとした邵可が全力で叫ぶ。蒼麗と克洵も目を開いた。



「く、玖琅、君――頭は大丈夫かいっ!!」



「失敬です、兄上。私の頭はまともです」



「いいや!!何時もはまともでも今はまともじゃない。ああ、まともじゃないんだ!!
だって、まともなら普通にあれに挨拶なんてしないだろ!!」



「兄上お客様に失礼ですよ、あれなんて」



「はい?」



「だって兄上の家のお客様でしょう?」



「は?」





この弟は今何と?




「うちでも良くああいうお客様をもてなすんですよ。いやあ、息子が良く連れてきて」



「はい?」



「ふむ。良く見るタイプの宇宙生物ですね」



「え?!よ、良く見るタイプって、玖琅!!君は何時も何を見て生きてるんだ!!」



「兄上……まあいいです。それよりももてなしのお茶を出さなければ。
ああ、茶家当主殿も私と家の発展について話でもしてみませんか?」





疑問系だが、有無を言わさずに克洵を拉致していく玖琅。そしてその後ろをトコトコと
ついていく赤き物体。後に残された蒼麗は、同じく後に残された邵可の肩をぽんっと叩く。






「紅州っていつの間にか、宇宙と姉妹都市になっているんですね」






蒼麗は褒めたつもりだった。しかし、今の邵可にとってそれは鋭いトドメ以外の
何物でもなく……彼は燃え尽きた。




そんな邵可が蒼麗の必死の看病で我に返るのは、それから一刻も後の事となる――









〜終わり〜